院長紹介

塚田 友樹(つかだ ともき)

I. 絶望から見出した「治癒の哲学」

鍼灸師・臨床家である塚田友樹は、幼少期からの重症アトピー性皮膚炎、そして生まれつきの難病である網膜色素変性症との長く困難な闘病生活を送ってきました。特に10代後半でほぼ視力を失い、20年以上ステロイドを使用しても改善しないアトピーの増悪と緩解を繰り返す中で、深い絶望を経験します。

しかし、20代で東洋医学に出会ったことが、彼の人生を決定づける転機となりました。東洋医学の根本治療によってアトピーは劇的に改善し、長年手放せなかったステロイドの使用量を徐々に減らすことに成功します。この経験から、彼は東洋医学の持つ無限の可能性に目覚めます。

さらに、視力を失うという避けられない運命を受け入れた後に得られた、不思議なほどの幸福感と充実感は、「病とは何か、治るとは何なのか」という医療の根源的な問題に真剣に向き合う、彼の揺るぎない哲学となりました。モットーとする「病は必ず克服できる」は、この実体験から生まれています。

II. 臨床家としての探求と東洋医学の社会実装

2008年に鍼灸師国家資格を取得した後、臨床家としての探求を深めます。2014年には一般社団法人北辰会に入会。藤本蓮風先生をはじめとする難病治療に取り組む多くの先達に出会い、東洋医学と東洋思想の奥深さを追求し、「追い求めていた真の医療がここにある」と確信します。中国、日本の伝統医学を学び、東洋医学臨床家としての道を確立しました。

また、社会での健康課題にも目を向け、EPSホールディングス株式会社で企業内理療師として勤務。ビジネスパーソン特有のストレスや健康問題に対し、「未病を治す(治未病)」の視点を持つ東洋医学が極めて有効であることを実感します。その後、都内での往診やレンタルサロンでの診療を通じて、様々な病苦と向き合う人々と出会い、臨床家としての経験値を積み上げました。

III. 独立、普及活動、そして多分野連携への挑戦

2020年11月、「とも鍼治療室」を開設し独立。理想の医療を追求する傍ら、東洋医学の魅力と可能性を社会に広く伝える活動にも精力的に取り組みます。一般の方向けの東洋医学セミナー、オンライン動画配信、医大の東洋医学クラブでの講義、医療関係者コミュニティでの講演など、その活動は多岐にわたります。

特に、2021年からはユーロフィアや「ガチガチ専門サロン」といったリラクゼーション・エステティック業界と連携し、セラピストにも応用できる東洋医学の技術指導を開始。鍼灸の知恵をより身近なセルフケアとして浸透させることに尽力しています。

企業連携の挑戦:生産性向上への貢献

2025年からは、シーテック株式会社との連携を本格化させ、宮城県気仙沼へ出張し、社員への施術を開始しました。これは、東洋医学的な施術を通じて、社員のパフォーマンス向上、健康状態の維持管理に貢献し、生産性の向上や医療費の削減といった具体的な実績につなげていくための、先駆的なチャレンジです。東洋医学が企業のウェルビーイング経営に不可欠なツールとなる未来を目指し、活動のフィールドを広げています。

IV. ポジティブヘルスとホリスティックな社会貢献

地域の中から健康の意識を高めたいという思いから、2022年より全国の医療施設や福祉事業所との交流を開始し、オンラインサロン「ゴジョノワ」を運営。多様なマイノリティや医療・福祉関係者をゲストに招き、対話を重ねてきました。

彼の活動の根底には、「ポジティブヘルス」の考え方があります。これは、単に病気がない状態を健康と捉えるのではなく、身体的、精神的、感情的な問題に直面したときに、それらを受け入れ、管理し、乗り越えていく「適応能力」こそが健康であるという、現代的な健康観です。

塚田はこの理念に基づき、地域の課題解決と雇用創出を目指す「ソーシャルファーム」の考え方にも深く共感。地域・医療・福祉が有機的に混ざり合った、ホリスティック(全体論的)な取り組みを現在も模索しています。

V. 未来の育成と新たなステージ「調律療法」へ

後進の育成にも情熱を注ぎ、2023年からは筑波大学附属特別支援学校からの実習生を受け入れを開始。視覚障害者・健常者の枠を超えた鍼灸師の育成、そして独立・開業の応援にも尽力しており、2025年からはそのための支援施設を開設し、指導を本格化させています。

また、2023年からは静岡県の動物愛護施設での犬や猫への施術ボランティアを、2025年からはつくば市の動物クリニックでの施術へと発展させ、動物への東洋医学ケアという新たな分野にも挑戦しています。

そして、彼の活動は2025年後半、大きな転換期を迎えます。同年7月の治療室移転を経て、新サービス「人と動物の調律 とも」を開始。大阪大学の医師とともに、東洋医学の知恵を基盤とした「健康の新たな考え方」を社会に広めるための活動を本格的に始動します。塚田友樹は、自身の経験と深い学識を糧に、すべての人と動物が自分らしく、心身ともに健やかに生きられる社会の実現に向けて、挑戦を続けています。